109th JGES 参加報告



令和7年5月9日から11日にかけて札幌で開催された第109回日本消化器内視鏡学会総会 (JGES2025)に参加いたしました。本学会は日本最大規模の内視鏡学会であり、最新の知見や技術が集結する学術集会です。今回は19年ぶりの北海道開催ということもあり、全国から多数の参加者が集まり、大変盛況でした。メイン会場で行われた特別講演・教育講演には特に多くの聴衆が詰めかけ、井上教授が演者を務められた教育講演「GERDに対する内視鏡の最先端」では、熱心にメモを取る参加者や積極的な質疑応答が見られ、関心の高さが伺えました。また、横山教授、浦上先生、田邊万葉先生がそれぞれ一般口演セッションで座長を務められ、いずれのセッションにおいても活発な討論が交わされておりました。



本学会のメインテーマは「情熱,大志,そして夢」と掲げられ、若手医師を対象とした発表機会や内視鏡操作の企画が設けられており、私は『第109回 会長特別企画 支部研修医・専攻医Award受賞者セッション』において「Endoscopic Papillectomy for the Complete Resection of a Pedunculated Intra-Ampullary Papillary-Tubular Neoplasm Confined Within a Choledochocele」を発表させていただきました。本症例は、昨年度前期に学外研修でお世話になった会津中央病院で経験したもので、第113回日本消化器内視鏡学会四国支部例会では「範囲診断に難渋した乳頭部胆管内腫瘤に対し内視鏡的乳頭切除術を行った一例」として発表し優秀演題賞をいただいた経緯があります。その後、牛尾先生をはじめとした諸先生方のご指導のもと、英語発表の形式にブラッシュアップし、発表に臨みました。初めての英語発表で緊張もありましたが、丁寧なご指導や想定問答の準備のおかげで自信を持って発表でき、ありがたくも最優秀賞という光栄な評価をいただくことができました。




また、各施設の専攻医と中堅医師でタッグを組み、次世代医療シミュレータ「MIKOTO」を用いて、点数を競う『研修医・若手医師による内視鏡操作競技会』にも汐見先生と参加させていただきました。同シミュレータを体験するのは2人ともほとんど初めての中、比較的高得点を出したつもりですが決勝進出とはなりませんでした。上位の施設では日常から「MIKOTO」を用いて大腸挿入などの練習を行なっており、観戦者からは教育機器としての有用性の高さを指摘する声が多数あり、次回の優勝を目指す当施設にも是非大腸モデルの導入を検討いただきたいと感じました。

初日の夜には北海道ボールパーク「エスコンフィールド」にて全体懇親会が開催され、野球観戦を楽しみながら全国の先生方と交流を深める貴重な機会となりました。会の終盤には日本ハムに所属したダルビッシュ有選手/大谷翔平選手の壁画の前で記念撮影を行うなど和やかな時間を過ごしました。



先生方の発表はもちろん、各施設の発表にも刺激を受け、今後も国内外問わず積極的に学会へ参加し、日々の診療や研究に還元できるよう努力したいと強く思いました。このような貴重な機会をいただき、心より御礼申し上げます。また、学会期間中も通常の診療をご対応いただいた皆様にも、この場を借りて感謝申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

■ 教授・指導医のご活躍

◯井上 晴洋先生

司会 理事長講演 「日本消化器内視鏡学会の現状と今後の展開」

ランチョンセミナー「Endoscopy Closure Tips」

演者 教育講演「GERD に対する内視鏡の最先端」


◯横山 登先生

座長「一般演題 口演 炎症」


◯浦上 尚之先生

座長「一般演題 口演 大腸診断」


◯田邊 万葉先生

座長「一般演題 口演 咽頭・食道治療」



■ 医局員の発表一覧

◯角 一弥先生  「一般演題 口演 その他」

・胃幽門部・十二指腸悪性狭窄に対する covered self-expandable metal stent + suturing法の使用経験


◯田邊万葉先生「第3回 急性下部消化管出血の内視鏡診療に直結するエビデンスを創出する研究会」

・急性下部消化管出血の前向き研究の多数例の登録経験に基づくコツと課題


◯川﨑 佑輝先生 「一般演題 口演 乳頭」

・胆膵内視鏡検査における後出血因子の検討


◯岸 優美先生  「一般演題 口演 大腸治療」

・高齢患者に対する大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)施行時のプロポフォール鎮静の安全性


◯汐見 大二郎先生「一般演題 口演 大腸治療」

・潰瘍性大腸炎罹患粘膜に発生した腫瘍性病変に対する浸水下内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の有効性と安全性に関する検討


◯嘉数 朝亮先生 「一般演題 口演 大腸治療」

・直腸神経内分泌腫瘍に対する Cap-assisted EMR(EMRC)の有効性と安全性に関する検討


◯佐藤 友哉先生 「会長特別企画 支部研修医・専修医Award受賞者セッション」

・輸入脚症候群に対する超音波内視鏡下輸入脚-輸出脚瘻孔形成術の一例


文責:消化器センター 内科専攻医 三宅隆裕