昭和大学 江東豊洲病院 消化器センター

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対象疾患|食道(POEM/ARMA)

食道の病気

食道の病気には食道機能に何らかの異常が起こった病気から悪性のがんなどの病気まで幅広く存在し、診断・治療法も多岐にわたります。当院では、正確な診断から適切な治療を提供するよう内科医と外科医の合同チームで診療にあたっています。食道がんはもちろんのこと食道粘膜下腫瘍などの特殊な腫瘍、食道アカラシアや逆流性食道炎などの機能性障害まであらゆる食道疾患を診ています。

当センターの食道疾患診療の特徴

① 内科・外科医合同の「食道治療の専門チーム

食道内視鏡治療の専門医(消化器内視鏡学会指導医・専門医)と、食道外科の専門医(食道外科専門医、内視鏡外科学会技術認定医)で構成された「食道治療の専門チーム」で診療を行います。この形式の診療体制は他にみない当科の大きな特徴です。

② 患者さんの負担の少ない「内視鏡治療」を最優先にしています。

可能な限り内視鏡(胃カメラ)による治療を選択します。内視鏡治療は、体に傷がつかず、負担の少ない治療法です。内視鏡治療が行えない場合でも、可能な限り、手術用のカメラを用いた負担の少ない手術(胸腔鏡や腹腔鏡による鏡視下手術)を選択しています。

他の科・部署と連携してさまざまな角度から治療をおこないます。

たとえば、食道がんの治療は、がんを取り除く(切除)をおこなうだけではなく、抗がん剤治療や放射線治療などを組み合わせておこなう(集学的治療といいます)ことがあります。患者さんの状況に応じて、腫瘍内科(抗がん剤の専門内科)、放射線科などと連携して治療にあたるとともに、治療の効果をよくするために栄養科、歯科、薬剤師、看護師、リハビリテーション科などと連携して治療をサポートする体制を整えています。

食道疾患(機能性障害)

食道の機能に何らかの異常が起こった病気

諸検査で潰瘍やがんなどの異常がないにもかかわらず、胸部(胸やけや胸のつかえなど)や腹部(腹痛やお腹の張り)において自覚症状が生じるものです。食道の場合には、食道の運動 (食べ物を胃に運ぶ機能)や食道と胃のつなぎ目の機能(胃の内容物の食道への逆流防止)の異常が主です。

食道アカラシア

1)食道アカラシアとはどういう病気?

食物を口から胃までスムーズに送るには、「食道の口から胃へ送り出す滑らかな蠕動運動」と「食道の出口(食道と胃のつなぎめ)が開くこと(弛緩)」が必要になります。これらに異常を来したものを食道アカラシアといいます。

2)食道アカラシアにはどういう症状があるの?

以下のいずれかの症状がある場合は、食道アカラシアの可能性があります。

  • 食物のつかえ感
  • 食物の逆流
  • 体重減少
  • 胸の痛み

3)食道アカラシアのどうやって診断するの?

食道アカラシアは、診断をつけることが難しい場合があります。当院へ来院して初めて診断がつき治療を受けた患者さんが多くいます。食道アカラシアの診断には、

① 内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)

② 食道バリウム検査

③ 食道内圧検査(食道の蠕動運動をみる検査)

④ CT検査

などが必要です。

当院では、これらの検査および診断と、それに応じた治療方針・日程の決定までを1泊2日の入院で行っておりますので遠方の方も余裕をもって検査を受けることができます。

4)食道アカラシアの治療法には何があるの?

食道アカラシアには以下の治療法があります。

① 内服治療

② 内視鏡を用いたバルーン拡張

③ 内視鏡による筋層切開術(Per Oral Endoscopic Myotomy:POEM)

④ 外科手術による筋層切開術

①と②は効果が不十分もしくは長期的な効果が乏しいといわれています。
③と④の筋層切開術は治療効果が高いといわれておりますが、まずは内視鏡治療POEMが食道アカラシアの標準治療となっています。

内視鏡的筋層切開術(POEM:ポエム)

筋層切開術を体に傷をつけずに内視鏡だけで行う方法で、当センターの井上晴洋教授が世界に先駆けて開発した方法です。この治療法は我々が2008年9月に世界で初めて行って以来、国内外でその安全性、根治性、低侵襲性が認められ、現在では世界に広く普及しておりスタンダードな治療法です。

<良い点>

体表に傷がつかない

筋層を切る長さや方向を自由に調整できる
(=個人個人に応じたオーダーメイド治療が可能)

体への負担が少ない

あらゆるタイプのアカラシアや類似疾患に対応が可能

という点が挙げられます。

全身麻酔を行うために手術中に痛みを感じることはありません。手術後に胸の痛みや違和感を覚える方はいらっしゃいますが、鎮痛剤を使用しますと痛みは軽減します。手術後2日目には痛みを感じない方がほとんどです。

POEMでは術後の胃酸逆流症状を懸念する声もありますが、当院においては、POEM後の逆流のリスクが高いと思われる患者さんには内視鏡的に逆流防止手術を加えることができます(臨床研究)

われわれは、現在までに2000例以上(令和2年4月現在)のPOEMを行っており、世界屈指の症例数の施設となっています。

POEMの実際

図のようにすべての処置を内視鏡的に行うことが可能です。
何よりも非常に安全性の高い治療法になります。

治療の詳細は以下のリンクからご参照ください

https://www.olympusprofed.com/jp/gi/esd/927/

https://www.olympusprofed.com/jp/gi/esd/931/

(オリンパス株式会社 Websiteより)

治療効果

食道バリウム検査にて食道と胃のつなぎ目がひらいていることがわかります。食べ物の通りやすくなり、食道アカラシアの症状は改善します。

POEM治療の詳細は以下をご参照ください。

胃食道逆流症

1)胃食道逆流症 (Gastroesophageal reflux disease:GERD)

GERDは、胃酸を含む胃液が食道に逆流することで生じます。胸焼けやこみ上げなどの不快な症状を感じたり、食道の粘膜がただれたりする病気です。

2)GERDの原因は?

食道の粘膜は、胃の粘膜とは違い、胃酸の刺激から身を守る仕組みを持っていないので、胃酸に触れると炎症を起こしてしまいます。とくに、胃や食道の運動機能が低下している場合には、食道が胃酸にさらされる時間が長くなり、炎症が起きやすいと考えられています。

原因として、食道と胃のつなぎ目である噴門部(胃の入り口に相当し、食べ物が通るとき以外はしっかり閉じて、逆流を予防します)の力が弱まることが挙げられます。食道裂孔ヘルニアや腹圧の上昇などが挙げられます。この噴門部が正常に働いていない場合に起こりやすい疾患です。

3)GERDの原因の一つ、食道裂孔ヘルニアとは?

噴門部が緩くなることを食道裂孔ヘルニアといいます。加齢や生活習慣などが原因で起こる場合と、生まれつき食道裂孔ヘルニアを起こしやすい場合があります。高齢化の進行や、食生活の欧米化により肥満者が増えていることから、近年増加傾向にあります。

※内視鏡写真は、口から入った内視鏡が一旦、胃に入り、食道を振り返っている写真です。

4)GERDにはどういう症状があるの?

  • 胸やけがある
  • すっぱいものが口の中にあがってくる
  • げっぷが頻回にでる
  • のどに違和感がある(いがいが、詰まった感じ)
  • 声がかすれる
  • 慢性の咳があるが原因がわからない
  • 胸が痛むことがあるが原因がわからない
  • 胃がもたれる、おなかが張る

このようにGERDでは多彩な症状がでます。症状が一つではなくいくつか症状が重なることがあります。症状が重いと日常生活に支障をきたすようになります。

5)GERDはどうやって診断するの?

内視鏡検査

24時間pHモニター検査

Endoscopic pressure study integrated system:EPSIS (臨床研究)

GERDの診断には内視鏡検査が必要です。下の図のように食道と胃のつなぎ目のところに炎症があるかどうかを調べます。炎症があるようであればGERDがあると判断し、まずは内服治療を開始します。

① 内視鏡検査

内視鏡検査では左図のようなびらん(ただれ)があるかどうかを確認します。このようなびらんは胃酸逆流を表すサインになります。

② 24時間pHモニター検査

内視鏡検査で診断がつかないGERDもあります。
内服治療を行っても症状が改善しない場合もあります。

「症状が胃酸逆流と本当に関係しているのか調べたい」、「薬を飲んでいるけど症状が改善しない」場合に24時間pHモニター検査を行います。胃からどの程度食道に胃酸があがってきたのかを調べる検査です。

細いチューブを鼻から食道の中へ留置して1日の胃酸逆流の程度を診ます。この検査は1泊入院での検査になります。

GERDを証明・診断するためのもっとも有用な検査です。GERDの確定診断は難しいことが多く、当院では数多くの24時間pHモニター検査を行っています。

ASCH JAPAN Co. LTDより

③ Endoscopic pressure study integrated system:EPSIS (臨床研究)

24時間pHモニター検査がGERDの診断方法の基本ではありますが、現在当センターにて新規検査法を開発しています。内視鏡検査では胃を膨らませて観察しますが、その時の胃の内圧を測ることができます。胃の内圧を測定することにより、噴門部(胃の入り口に相当し、食べ物が通るとき以外はしっかり閉じて、逆流を予防します)の力を測定することができるわけです。24時間pHモニター検査をする前に、EPSISを行うことにより内視鏡検査にて胃酸逆流の有無を推定することができるようになりました。

赤印:噴門の力 (逆流防止弁)
青印:胃を送気して、胃の内圧を測定します
右図:胃の内圧の形により胃酸逆流の有無を確認できると考えています。

GERDの治療

内服治療

内視鏡的噴門部粘膜焼灼術(臨床研究)
(Anti-reflux mucosal ablation: ARMA アーマ)

腹腔鏡下噴門形成術

① 内服治療

GERDの治療の第一選択は薬物療法(プロトンポンプ阻害薬、ボノプラザンなど)です。これは逆流内容の主なものである胃酸を抑えることによって、胸やけなどの症状を抑え、食道炎を治癒させます。しかしGERDは再発率の高い病気で、内服をやめると再発してしまうことが多く、そのため、長期的に薬を飲み続けなければならない人が多くいらっしゃいます。またこの薬の治療が有効であれば大変良いのですが、無効である人も少なくありません。

② 内視鏡的噴門部粘膜焼灼術 (ARMA アーマ)

胃と食道のつなぎ目を、焼灼することで人工的に潰瘍を形成し、その潰瘍が治癒する過程で瘢痕収縮することにより、胃の入り口を引き締める治療です。

これまでは、粘膜切除術(Anti-reflux mucosectomy : ARMS アームズ)を施行してきましたが、この知見から粘膜切除をより安全な粘膜焼灼に置き換えたARMAを行っています。
治療効果は、人工的な潰瘍が治癒し瘢痕収縮した後に見られますので、術後1-2か月経過した後になります。また、一度の治療で効果が不十分な場合、追加でARMAを行うことも可能です。

ARMA治療前後の内視鏡写真(治療効果)

左:治療前の噴門部を胃から見上げた写真:噴門(食道と胃の境目)が緩んでいます。
中央:ARMA直後の写真。胃の入り口を囲むように、粘膜を焼灼します。
右:ARMA1か月後の写真。潰瘍が治るときには粘膜が縮むため、このように噴門がキュッとしまり、逆流の防止が期待されます。

ARMA前後を比較すると酸逆流の改善をえることができました。さらに自覚症状も明らかに改善しており、安全かつ有用な治療であると考えています。そして、胃酸分泌抑制薬を内服されていた患者様の約半分が内服を中止することが可能となっています。

この内視鏡手術には全身麻酔を行うために手術中に痛みを感じることはありません。手術後に胸の違和感を感じる方はいますが、痛みを訴える方はほとんどおられません。

また、様々な理由で胃切除をうけられた患者様もいらっしゃいます。胃切除は逆流を起こしやすくなる原因となりますが、その対応は困難となることもしばしばあります。手術後にさらなる外科的手術を加えることは困難であり、このような患者様にもARMAは大変有用な治療となります。

内視鏡検査にて食道裂孔ヘルニアを認め、24時間pHモニター検査にて逆流が認められる方が、治療の対象となります。なお、大きな食道裂孔ヘルニアを有する方は、外科的噴門形成術をお勧めすることもあります。

保険診療ではなく、自費診療ですが、患者さんの負担をできるだけ少なくする配慮をおこなっています。詳細は担当医にご相談ください。

この治療の詳細は以下をご参照ください。

③ 腹腔鏡下噴門形成術

薬物治療が効かない方や、大きな食道裂孔ヘルニア(胃の一部が胸腔内へ入り込む状態のこと)を伴っている方、あるいは患者さんが希望する場合などは、噴門形成術という外科的手術の適応となります。 外科的手術では図のように噴門のまわりに胃の一部をマフラーのように巻き付けることで新たに噴門機能をつくり、噴門の逆流を防ぐ機能を強化します。

外科手術は、

<メリット>

効果が高い

理論上、永久に効果がある

胃酸以外の逆流を防げる

<デメリット>
内服治療や内視鏡治療にくらべて身体に負担がかかる

最近は、カメラを使った小さい傷での手術(腹腔鏡手術)でほとんど行われるようになりました。下の図のように小さな穴を用いて手術を行いますので、手術後の痛みは鎮痛剤でしっかりと抑えることができます。外科手術といってもからだの負担がとても少ない治療法です。

当科では、逆流性食道炎の治療は内視鏡治療を優先しますが、外科手術の適応となった場合は可能な限り腹腔鏡でおこなっています。

また、外科手術は下記に示すようなNissen法を基本としていますが、場合によっては、Toupet法をおこなうこともあります。

逆流防止手術の方法(Nissenニッセン法)

食道のまわりに胃の一部を巻き付けます。巻きつけた胃が逆流防止として機能します。

手術写真:

① Nissen法 360度巻き付けます

② Toupet法 約270度巻き付けます

食道疾患(腫瘍性疾患)

食道がん

1)食道がんの症状

初期には自覚症状はありませんが、病気が進行すると以下のような症状が出現します。

  • 食事がつかえるようになる
  • しみる感じがする
  • 声が枯れてくる
  • 体重が減ってくる

2)食道がんの診断

食道がんは食道粘膜から発生するがんです。

<特徴>
アルコールタバコなどがリスク因子(原因)
男性に多い

消化管がんの中で早期発見が最も難しいがんとされ、バリウムによる造影検査で発見することは困難です。当センターでは、国内数施設にしかない超拡大内視鏡(エンドサイトスコピー)を用いて、1mmの大きさのがんを発見することに成功しています(図1)[Inoue H, et al. Endoscopy 2006: Goda K, et al. Dis Esophagus 2014]。

早期のがん患者の大多数は自覚症状がありません。よって、食道がん危険因子である飲酒、喫煙歴のある方は、症状なくとも内視鏡検査をお勧めします。

3)食道がんの治療

食道がんの治療は以下のように大まかに分けられます。

① 内視鏡治療

② 外科的手術

③ 化学療法(抗がん剤をつかった治療)

④ 放射線治療

⑤ その他(免疫療法など)

早期のがんには内視鏡的粘膜切除術(EMR、図2)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD、図3)などの内視鏡的治療を、進行したがんには手術(胸腔鏡、開胸)、化学療法、放射線照射を組み合わせた集学的治療を行います。

実際の治療は、

  • がんの進行度
  • 患者さんの体力(年齢など)
  • 心臓や肺、腎臓などの耐術能(手術に耐えれるかどうか)
  • 患者さんの希望やライフスタイル

上記を考慮して決めています。

内視鏡治療

食道表面の粘膜より少し深いがんで転移のない早期がんが、内視鏡治療のよい対象となります。内視鏡治療後、切除したものを顕微鏡で詳細に調べた結果(組織学的所見)、予測より深いがん・静脈やリンパ管内にがんがあった場合、外科治療(後述)をはじめとする追加治療が必要です。当センターでは食道がん診断・治療の経験豊富なエキスパートが、最新内視鏡機器と駆使した正確な術前検査、最新内視鏡治療(内視鏡的粘膜下層剥離術)をおこないます。

当センターにおける2017年度の治療成績は一括完全切除率94%、内視鏡治療による合併症発生率(術中・術後のトラブル)は0%と極めて良好です。

非常に体に負担の少ない治療です。治療後には病変を切除したことに気づかないほどであり、痛みを訴え方はほとんどおられません。

外科治療

内視鏡治療適応外の食道がんに対しては、手術による外科的切除をおこないます。通常、手術による外科治療は抗癌剤による化学療法や放射線治療と組み合わせて行われることが多いです。
食道がんは通常、食道と一緒に摘出されます(食道は一部を残してほほ全部を切除します。食道亜全摘といいます)。したがいまして、食道がんの手術は、頸(くび)、胸、おなかに傷が入ることになり、消化器外科の手術の中では比較的大きな手術になります。
近年、胸腔鏡・腹腔鏡とよばれる手術用のカメラをつかって小さい傷で手術を行うようになりました(鏡視下手術といいます)。可能な限り患者さんへの負担の少ない鏡視下手術を選択します。
鏡視下食道癌手術は、からだの傷が小さく、患者さんへの負担の少ない手術です。われわれは、「鏡視下食道切除・再建術(HALS併用)」を1997年にいち早く導入しました。原則として鏡視下手術で手術をおこないますが、肺の癒着やがんの進行具合によって技術的に鏡視下での遂行が出来ない場合にかぎり、従来の開胸・開腹による手術を行っています。

胸腔鏡・腹腔鏡をつかった食道がん手術後の傷(一例)

食道粘膜下腫瘍

食道粘膜下腫瘍は粘膜の下に発生する腫瘍で、自覚症状に乏しく、検診の造影検査や内視鏡検査で発見されることが多いです。

ほとんどが良性腫瘍ですが、以下の場合に治療適応 (手術により腫瘍を摘出することが望ましい) となります。

  • 腫瘍径2cm以上
  • 増大傾向
  • 食事通過障害などの症状のある

当センターでは、食道アカラシアに対する内視鏡治療である内視鏡下筋層切開術(POEM: per-oral endoscopic myotomy)を応用し、内視鏡で粘膜下層にトンネルを作成して腫瘍を摘出する内視鏡的粘膜下腫瘍摘出術(POET: per-oral endoscopic tumor resection) (Inoue H, et al. Endoscopy. 2012)を、食道粘膜下腫瘍に対して積極的に行っています。

POETは当センターの井上教授が開発し、世界に先駆けて成功させた低侵襲(体に負担の少ない)な内視鏡治療です。POETを受けられる医療機関は国内では数施設と限られますので、食道粘膜下腫瘍と診断された方は当センターへご相談ください。なお、腫瘍径が大きな病変や部位などによっては、POETが困難なことがあり、その際は胸腔鏡(通常の外科手術より負担の少ない方法)を使用した外科手術で腫瘍の切除を行うなど、患者さんの病状に応じて最適な治療をご提案しております。

POETのイメージ図

POETの実際

① 食道粘膜下腫瘍 通常内視鏡像

② POET術中の内視鏡像:粘膜下層トンネルから観察

③ 有筋層から剥離・露出させた腫瘤

④ POET術中の内視鏡像③(腫瘍摘出後の粘膜下層トンネル)

摘出した腫瘍(病理結果:平滑筋腫(良性))

バレット食道・食道腺癌

正常の食道粘膜は扁平上皮という粘膜で覆われていますが、この扁平上皮が円柱上皮という粘膜で覆われた食道をバレット食道と呼びます。胃酸の逆流が原因でバレット食道を発症することがわかっています。近年バレット食道は急増しており、食道癌のリスクになっています(バレット腺癌)。最も重要なのはバレット食道の発見であり、これは無症状であることが多いためバレット食道と診断されたら、定期的に内視鏡検査を受けることが必要です。

早期バレット腺癌は内視鏡診断が非常に難しい ことから、経験豊富な内視鏡医による検査を要します。当センター所属の医師は、バレット食道・腺癌に精通しており、数多くの早期癌を発見することに成功しています。また、バレット食道の多い北米の大学病院と共同で診断および治療に携わっています(Shimamura Y, Goda K. Digestive Endoscopy 2017)。早期に発見した癌は患者さんの負担の少ない低侵襲な内視鏡的治療を行っています。

胃酸の逆流症状が強い方(胸やけ症状)、逆流性食道炎やバレット食道と診断された方は是非専門外来でご相談ください。

左:バレット食道
中央:バレット腺癌
右:バレット腺癌内視鏡的切除後
(図2および図3: Shimamura Y, Goda K. Digestive Endoscopy 2017より引用)

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