昭和医科大学 江東豊洲病院 消化器センター

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対象疾患|⼤腸

COLORECTAL CARE · ENDOSCOPY & SURGERY

大腸の病気と治療
内視鏡治療から、外科手術まで。

大腸ポリープ・大腸がん、炎症性腸疾患などに対し、内視鏡治療・外科手術・薬物療法から適した治療を検討します。
当センターでは、消化器内科と消化器外科が一つのチームとなり、一人ひとりに合わせた診療を行います。

01 病変を見極める02 適した治療を選ぶ03 回復を支える

01 / COLORECTAL DISEASES

大腸の病気と、一般的な治療。

大腸ポリープ・大腸がん

大腸内視鏡で病変を調べ、ポリープ切除・EMR・ESD・外科手術などから適した治療を検討します。内科と外科が連携して診療します。

炎症性腸疾患など

潰瘍性大腸炎、クローン病、感染性腸炎や憩室炎など、原因に応じた検査と治療を行います。血便や下痢が続く場合などはご相談ください。

小腸の病気

カプセル内視鏡や小腸内視鏡を必要に応じて用い、出血や炎症、腫瘍などを調べます。腸に狭い部分がある場合などは、検査方法を慎重に選びます。

直腸・肛門の病気

痔や痔瘻など、直腸・肛門の症状についても診療しています。詳しくは専用ページをご覧ください。

直腸・肛門の診療について →

02 / COLORECTAL ESD

大腸ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
早期大腸がんを内視鏡で治療する

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は、大腸の内側から病変の周囲を切開し、その下にある粘膜下層を少しずつ剥がして切除する治療です。肛門から入れた内視鏡で行い、お腹の皮膚を切開せずに病変を取り除くことを目指します。

TREATMENT SELECTION

大きさ・形・深さから選ぶ

通常のポリープ切除やEMRでは一括切除が難しい、大きく平らな病変などが対象になります。がんの深さやリンパ節転移の可能性、全身の状態も評価し、ESDが適しているか判断します。

PATHOLOGICAL ASSESSMENT

切除した組織を詳しく調べる

病変をひとまとまりに切除することで、がんの深さや切除した端の状態を病理検査で評価できます。その結果をもとに、治療が完了したか、追加の治療が必要かを確認します。

  1. 01

    病変を確認

    内視鏡で大きさ・形・表面の様子を観察し、広がりや深さを見極めます。

  2. 02

    病変の下を剥離

    粘膜の下に液体を注入し、専用のナイフで病変を少しずつ切り離します。

  3. 03

    切除後の傷を確認

    出血の有無などを確認し、病変や傷の状態に応じて閉創を行います。

すべての大腸がんがESDの対象になるわけではありません。深く入り込んだがんやリンパ節転移が疑われる場合、切除後の病理結果で追加治療が必要と判断された場合には、内科・外科が連携して治療方針を検討します。

CASE REPORT / UNDERWATER ESD

治療の一例:水中ESDで視野を保つ工夫

潰瘍性大腸炎に関連して生じた大腸の腫瘍に対し、水中ESDを行った一例を報告しています。生理食塩水で満たした状態で、内視鏡の電気メスと連動して送水する仕組みを用い、処置中の泡を取り除いて視野を保ちながら切除しました。

線維化や脂肪の多い組織がある病変でしたが、腸の筋層を傷つけずに一括切除を達成し、術後経過は良好でした。

実際の治療画像を見る
水中ESDの症例報告図。病変のマーキング、切開、剥離、切除後の創部、切除標本、病理像。
a:切除範囲のマーキング b・c:水中での切開・剥離 d:切除後の創部 e:切除標本 f:病理像
Tanabe M, et al. Endoscopy. 2025;57(S 01):E854–E855. Fig. 2. 著者提供の原稿内画像を使用。

個別に治療方針を検討した一例です。潰瘍性大腸炎に関連する腫瘍では、病変の広がりや切除後の病理結果をもとに、外科手術を含めて治療方針を検討します。

症例報告・論文情報を見る

Tanabe M, Hayashi T, Shiomi D, Iihara K, Uragami N, Yokoyama N, Inoue H.
Successful underwater endoscopic submucosal dissection for ulcerative colitis-associated neoplasia using a synchronized irrigation fluid management system.
Endoscopy. 2025;57(S 01):E854–E855. DOI: 10.1055/a-2658-0148

切除標本の病理検査では、切除断端は陰性でしたが、粘膜下層への浸潤(1,100 µm)と簇出BD2を認めました。一括切除できたことだけで治療完了とは判断せず、こうした病理所見も含めて追加治療の必要性を検討します。

論文を見る(英語) ↗

03 / DEFECT CLOSURE

偶発症を減らし、
さらに安全な治療へ。

ESDで病変を取り除くと、腸の内側に粘膜が欠けた傷が残ります。閉創(へいそう)は、その傷の縁をクリップや糸を使って寄せ、閉じる処置です。

ESD後の出血などのリスクをできるだけ減らすため、当センターでは閉創に取り組んでいます。傷の状態に合わせた丁寧な処置と治療後の経過観察を通じて、さらなる安全性の向上に努めています。

Loop9法|糸の輪とクリップで傷を寄せる

糸で作った輪をクリップで傷の両側に固定し、輪を締めて傷の縁を寄せます。その後、必要に応じてクリップを追加します。

Loop9法の4段階を示す論文の模式図。糸の輪の留置、両側のクリップ固定、輪の締め込み、傷の縁を寄せた状態。
図は横にスクロールできます →
a:糸の輪を届ける b:傷の両側に固定する c:輪を締める d:傷の縁を寄せる 出典:Tanabe M, Inoue H, Shimamura Y, et al. Endosc Int Open. 2024;12:E947–E954. Fig. 3. 論文を見る ↗
© 2024 The Author(s). CC BY-NC-ND 4.0/掲載図を改変せず転載。

MANTISクリップ|傷の縁をつかんで寄せる

組織をつかむ先端形状を持つクリップで、一方の傷の縁を反対側へ寄せます。さらに通常のクリップを追加して、傷全体を閉じます。

MANTISクリップを用いた閉創を模型で示した論文の6枚の写真。傷の片側を把持し、反対側へ引き寄せて中央を閉じる過程。
図は横にスクロールできます →
模型を使って、傷の片側をつかみ、反対側へ寄せて中央を閉じる流れを示しています。実際の患者さんの写真ではありません。 出典:Shiomi D, Tanabe M, Uragami N, et al. Endosc Int Open. 2024;12:E1127–E1133. Fig. 2. 論文を見る ↗
© 2024 The Author(s). CC BY-NC-ND 4.0/掲載図を改変せず転載。

閉創をしても出血などの可能性がなくなるわけではありません。完全に閉じることが難しい場合もあり、処置後の観察を続けます。

04 / COLORECTAL SURGERY

大腸・直腸の外科手術

内視鏡での切除が適さない大腸がんや、ESD後の病理検査で追加治療が必要と判断された場合には、外科手術を検討します。当センターでは、内科と外科が協力し、がんの治療効果と体への負担の両面から方針を考えます。

腸管とリンパ節を含めて治療する

大腸がんの手術では、がんのある腸管と周囲のリンパ節を切除します。切除する範囲や腸のつなぎ方は、病変の位置・進行度・全身状態に合わせて判断します。

COLON SURGERY

結腸がんの手術

がんのある部位に応じて腸管を切除し、残った腸をつなぎます。周囲のリンパ節も調べ、術後の病理結果から、その後の治療方針を決めます。

RECTAL SURGERY

直腸がんの手術

肛門からの距離やがんの広がりをもとに術式を検討します。がんの切除とともに、排便・排尿などの機能や、手術後の生活への影響にも配慮します。

LAPAROSCOPIC SURGERY

腹腔鏡手術を含む、体への負担に配慮した治療

当センターでは、病状に応じて腹腔鏡手術を検討します。お腹の小さな切開からカメラや器具を入れて行う手術です。がんの広がりや過去の手術による癒着などによっては、開腹手術が適している場合もあります。安全性と十分な切除を重視して方法を選びます。

人工肛門(ストーマ)について

すべての手術でストーマが必要になるわけではありません。病変の位置や手術の内容に応じて、一時的または永久的なストーマを造る場合があります。必要性や見通し、日常生活での管理について、担当医・看護師にご相談ください。

手術後の回復と、その後の治療

手術後は傷や腸の回復を確認し、食事や活動を徐々に再開します。病理結果や全身状態に応じて、再発を減らすための薬物療法などを検討する場合があります。退院後も定期的に経過を確認します。

手術には、出血、感染、縫合不全(腸をつないだ部分から内容物が漏れること)、腸閉塞などのリスクがあります。手術方法ごとの注意点と、術後に気をつける症状を事前にご説明します。

がん以外の病気の外科治療

潰瘍性大腸炎やクローン病などでも、病状によって手術が必要になることがあります。薬物療法の経過や症状を踏まえ、内科・外科が連携して治療を検討します。

手術方法や入院期間は、病変の状態、持病、治療後の回復などによって異なります。診察時に個別にご説明します。

05 / OUR RESEARCH

閉創の工夫を、
臨床研究として発信しています。

当センターでは、ESD後の傷をどのように閉じ、閉じた状態を維持できるかを検討しています。以下は、それぞれの方法を用いた患者さんを対象とした研究報告です。

LOOP9 / 2024

Loop9法による粘膜欠損の閉鎖

96.6%完全閉鎖率 / 118件中114件

大腸ESD後にLoop9法を用いた118件を検討しました。114件で傷を完全に閉じることができ、そのうち107件では治療4〜5日後にも閉鎖が維持されていました。

研究の概要・論文情報を見る

2020年5月〜2023年3月の症例を対象とした、単施設の後ろ向き研究です。閉鎖に要した時間の中央値は14分でした。後出血・遅発性穿孔は認めませんでしたが、ESD後凝固症候群(腹痛・発熱など)を2件、バルーンによる拡張が必要な狭窄を1件認めました。凝固症候群の2件はいずれも保存的治療で対応し、入院期間の延長はありませんでした。なお、閉創前のESD中に生じた穿孔は8.5%と報告されています。比較群は設けていないため、この研究だけで合併症の予防効果を確定することはできません。

Tanabe M, Inoue H, Shimamura Y, et al.
Loop9 closure technique for mucosal defects after colorectal endoscopic submucosal dissection (with video).
Endosc Int Open. 2024;12:E947–E954.
DOI: 10.1055/a-2362-5617

論文全文を読む(英語) ↗

ANCHOR-PRONGED CLIP / 2024

MANTISクリップによる粘膜欠損の閉鎖

98.1%完全閉鎖率 / 52件中51件

MANTISクリップを用いて閉創した52件を検討しました。51件で完全閉鎖を達成し、そのうち49件で閉鎖の維持を確認しました。

研究の概要・論文情報を見る

単施設の後ろ向き研究です。閉鎖に要した時間の中央値は8分でした。出血とESD後凝固症候群をそれぞれ1件認め、いずれも入院期間の延長なく対応できました。効果と安全性について、さらに比較研究での検証が必要です。

Shiomi D, Tanabe M, Uragami N, et al.
Clinical utility of a novel anchor pronged clip for mucosal defect closure after colorectal endoscopic submucosal dissection (with video).
Endosc Int Open. 2024.
DOI: 10.1055/a-2409-3622

論文全文を読む(英語) ↗

上記の数値は各研究の対象症例における結果であり、すべての患者さんの成績を保証するものではありません。2つの研究は対象や実施時期が異なるため、数値を直接比較して方法の優劣を判断することはできません。

06 / YOUR TREATMENT

相談から、治療後のフォローまで。

  1. 01

    診察・治療方針の相談

    内視鏡画像や検査結果、持病・内服薬を確認します。治療方法と見込まれる効果、注意点をご説明します。

  2. 02

    入院・治療

    選択した治療に合わせて前処置や鎮静・麻酔などを準備し、内視鏡治療または外科手術を行います。

  3. 03

    回復の確認・結果説明

    腹痛や出血などを確認し、食事や退院の時期を判断します。病理結果に基づき、その後の方針を決めます。

治療後も状態を確認します。
内視鏡治療・外科手術のいずれも、腹痛や出血などを確認しながら回復を見守ります。ESDでは出血や穿孔、手術では縫合不全や感染などに対して、追加の処置や手術が必要になる場合があります。血便、強い腹痛、発熱などがある場合は、退院時の案内に従い、速やかに病院へご連絡ください。

07 / QUESTIONS

よくあるご質問

内視鏡治療と外科手術は、どう選びますか?

病変の大きさだけでなく、深さや広がり、リンパ節転移の可能性を調べて判断します。当センターでは内科・外科が連携し、内視鏡治療で対応できるか、腸管とリンパ節を含めた手術が適切かを検討します。

大きなポリープでも内視鏡で治療できますか?

大きくても、ESDなどの内視鏡治療が可能な病変があります。大きさだけでなく、がんの深さや病変の場所・形、患者さんの状態を確認して判断します。

閉創は、すべてのESDで行いますか?

傷の場所や大きさ、閉じる際の負担などを踏まえて判断します。傷が大きい場合や腸の形によっては、完全な閉鎖が難しいこともあります。

治療中の痛みや不安が心配です。

内視鏡治療では状態に合わせた鎮静を、外科手術では麻酔を行い、呼吸や血圧などを管理します。治療前後の痛みへの対応も含めてご説明しますので、過去の検査や手術でつらかったことがあれば、診察の際にお伝えください。

入院は何日くらいですか?

治療の範囲や回復の状態、持病などによって異なります。閉創の有無だけで退院日が決まるわけではありません。診察時に目安をご案内し、治療後の状態を確認して判断します。

切除できれば、治療は終わりですか?

切除した組織の病理検査で、がんの深さや取り切れているかどうかなどを評価します。結果によっては、リンパ節の治療を含めた追加手術などが必要になります。治療完了後も、状態に応じた経過観察を続けます。

大腸の病変や、治療についてのご相談

他院で大腸ポリープ・大腸がんを指摘された方、内視鏡治療や外科手術について相談したい方は、受診方法をご確認ください。紹介状や内視鏡画像、検査結果をお持ちの場合は、ご持参いただくと診療の参考になります。

関連する学会情報・参考文献

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